和歌のあそび訳

マイブームの『百人一首』をいまどきな感じで訳してみました。 〈作者の談〉は歌の作者のコメント的な、解説を含んだフィクションです。 人格設定は妄想。

百人一首 3.あしびきの

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3 あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
   長々し夜を ひとりかも寝む (柿本人麻呂

  あしびきの やまどりのおの しだりおの
   ながながしよを ひとりかもねん (かきのもとのひとまろ)

 

山鳥のしっぽってすっごく長いだろ? 秋の夜だってすっごく長いんだよ。それなのに大好きな人にも会えないでひとりさみしく寝なきゃなんないって、あー、むなしいったらありゃしない。

 

〈作者の談〉
 最近、仕事が忙しくて彼女と会えなくてさ、あんまり長く放ったらかしにしたら、オレ、フラれちゃうんじゃないかって気が気じゃないんだよね。あの子、メッチャ可愛いから、絶対モテると思うんだ。オレのこと薄情だと思って、ほかの男と仲良くしてたらどうしよう・・・。
 ってもんもんとして寝られないし。秋は日が短くなるだろ? 暗くなったら寝るしかないんだけど、彼女のこと考えてたら眠れないよね。ちょうど夜が長いのと山鳥のしっぽがやたらと長いのをかけてみた。しかもこの山鳥、昼間はイチャイチャしてるくせに、夜は別々の場所で寝るんだって。ちょうどオレと彼女みたいだろ? うまいこと言ったけど何か泣きそう・・・。あー! 彼女に会いたいなー! 手にぎってぎゅってしてチュッてしてイチャイチャしてアレとかコレとか・・・#*△%~&<!! って思いのたけをぶつけてみた。ヒマなんで。
 まぁ、山鳥はたんに『長い』って言いたいだけの前振りなんだけどさ。その山鳥の『山』を言いたいためだけに『あしびきの』って言葉も入れた。これ、枕詞っていって、オレがたくさん考えた。それから『の』も何個か入れて長ったらしい感じを出してみた。あと、『おの』の繰り返しが韻を踏んでて読んで面白いだろ? ヒマすぎていろいろテクニックを駆使してみたわ。んなこと考えるより、彼女と会う方法でも考えろってツッコまないでね。